おもしろい記事を見つけた。
http://magazine.kakaku.com/mag/kaden/id=700/
PCに接続して再生するタイプのオーディオ機器について、その音質について何やら理屈っぽいことを書いてありますが、
その中で「PCオーディオへの接続方法はUSB接続だと、演奏の細やかなニュアンスや空間的な拡がりが損なわれる!」とされていて、その原因が
「USB接続ではエラー訂正が行われないからだ!」
と結論付けられている。
何ともこんな理屈がまともにまかり通りと思って書いているんでしょうかね?
「USBでエラー訂正が行われない」というのは、おそらくアイソクロナス転送においてCRCエラーが発生したときにパケットがそのまま捨てられる、バルク転送のように再送はされない、ということを指しているようだけども、
そもそもUSBがもうかなり枯れた技術(SuperSpeedは除く)だし、これまでUSBアナライザを使ってUSB機器を
何種類も開発してきましたけど、USB接続でCRCエラーが発生することはそんなにありませんよ。
まあ、よっぽどひどいケーブルを使うか、延長ケーブルを入れたりしたら起きないわけではありませんが、
普通に売ってるケーブルを使えばエラーが発生する頻度なんて数千万トランザクションに1回あるかないか?くらいで、たかだか数分の曲を聴いている間に1回起きるか起きないかのエラーで「演奏のニュアンス」や「音の拡がり」が損なわれるという理屈はまったくもっておかしな話だ。
せめて、定常的に起こる(1秒間に数回~数十回も起こる)細かいエラーの頻発で音質に微妙に影響している、という論理なら、まだ理解もできるのだが、今度は逆にそんなにエラーが頻発していたらUSB通信自体
崩壊してるでしょ?って話。
それに、USBで送られているデータは通常PCMなんだよね。
仮にPCMストリーム上でランダムに1bitが化けるとしたら、そのビットがPCMデータのMSB側かLSB側かで
出てくる影響は全く違うでしょう。LSB側のデータ化けなら微妙な音質の劣化として聞こえるでしょうが、MSB側が化ける場合も想定しないといけない。
もしMSB側のデータ化けなら、それこそ「バリッ!!」と大音響でノイズが乗るのは目に見えている(いや、耳に聞こえてる。笑)。その点からしても先の記事の理屈は変だ。
まさに、この記事自体が「オカルト」。
実際には、アイソクロナス転送でビット化けが起こったとしたらCRCチェックで引っかかるからそのパケット自体が捨てられる。つまり、本来送られるはずのPCMデータの一部がごっそり抜けて無くなることになる。そうなると、やはり人間が感知できる影響というのは「バリッ」という大きなノイズになるはず。
まあ、USB DAC側で何らかの対策がしてあるとしたら、そういう大きいノイズを避けるために瞬間的にミュートされるかもしれないけど、いずれにしても音の拡がりがどうのこうのいうレベルではない。
「1パケットが失われる」=「1ms分のPCMデータが失われる」=「約44サンプル分のPCMデータが失われる(44.1KHz再生の場合)」ということなので、
どんなに優秀なUSB DACでもその失われたPCMデータを補完できるわけもなく、ノイズ発生は避けられまい。
ほんとに「オカルト」な話だな~。
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