2012年10月20日土曜日

ThinkPad Edge E430のHD+化計画[準備編]

いろいろ調査した結果、ThinkPad Edge E430のLCDパネルをHD+(WXGA++)化できそうなことが分かりました。

E430を購入するときにちょっと残念だった点の一つが、解像度が1366x768しか選択できないことでした。解像度が高ければ、少しくらい価格アップしてても買ったのに…と思っている人は多いでしょう。でもLenovoとしては高解像度が欲しい人は単価の高いTシリーズに誘導したいのだと思います。
さて、ある程度妥協の上で購入してみましたが、使ってみると1366x768でもそれなりに使えますね。ややこしいウィンドウのアプリ(Visual Studioとか)は結局ほとんど最大化で使っていますが、virtual dimensionという仮想デスクトップソフトのおかげもあって、まずまずの使えるということを実感できました。

でも、やっぱりもうちょっと広い方がいいです。データシートとか並べてみたいときもよくありますし。そこで分解してオシロスコープでLCDパネルがつながるコネクタ周りを調べてみたところ、HD+のLCDパネルをつなぐのに必要な信号らしきものが観測でき、HD+化できるメドがつきつつあります。。

標準のLCDパネル LP140WH4-TLP1(WXGA+、1366x768)ではVESA規格でいうところのいわゆる"Single channel"接続でしたが、HD+(1600x900)では"Dual channel"になるので、この2つ目の系統の信号がどこまで出ているかがカギだと考えられます。もし、ビデオチップから(今回の場合はCore i7-3612QMから)その信号が出ていないのであれば、その時点でアウトです。3612QMのデータシートを見ると、LVDS出力の場合はDual Channel分のピン割り当てがあることが分かりましたので、この点はクリアです(ちなみに、3612QMからはeDP出力もあるようです)。

次に、そのチップからの信号がマザーボード上で配線されていなければダメですね。今のCPUはBGAやPGAが当たり前ですし、基板もIVHとか使われていますので、マザー上に配線がなければ配線を追加することは不可能です。目視で配線を追いかけることすら適いませんから、手持ちのHD+パネルをつないでマザー上のLCDパネル行きのコネクタにそれらしい信号が来ていないかをオシロで確認しました。すると、現在使用していると思われる1系統目の信号の他に、それらしい信号(CLKのペアと、RGB+SYNCの入った信号の3ペア)が見つかりました。というわけで、第二関門も通過です。

最後に、LCDケーブルの問題が残ります。信号がコネクタまで来ていても、ケーブルがつながっていなければLCDパネルにまで信号が届きませんから。で、案の定、E430では2系統目の信号がLCDケーブルでは配線されていないことが判明しました。これさえつなげれば、きちんとHD+の解像度で映るはずです。実際、HD+のLCDパネルをつないでみると、それなりにちゃんと表示されています。Windows上でも1600x900と認識していました。でも、目をよく凝らして画面を見てみると、X方向に1ドットとばしで黒い縦線が画面全体に入っていることが分かります。Dual Channelの片側の系統しかつながっていないのですから、半分しか表示されていないのです。当然の結果ですが、この状態が確認できたということは、これまでの推測なり調査の結果に対する裏付けが得られたという点で、非常に期待が持てます。

LCDパネル側のコネクタの配線は簡単に分かりますが、マザー側のコネクタのピン配列はまだ完全には把握できていません。が、これまでの経験と調査の結果などから、だいたいの絞り込みはできました。CLK信号とRGB信号は波形を見れば区別できますし、RGB信号側のプラス側とマイナス側を区別もオシロで信号を見ればだいたい分かります。残る問題は、CLK信号の極性と3ペアあるRGB+SYNC信号の区別だけです。このあたりは、間違えて接続してもちゃんと表示されないだけのことなので、現物合わせで確定できると考えています。

以上のことが分かったことで現在の最大の問題となっているのは、LCDケーブルをどうするかという点になりました。現在のケーブルに追加配線をするか、コネクタだけをどこからか購入して新しいケーブルを作るか。いずれにしても、0.5mmピッチのコネクタへのバラ配線は困難を極めそうです。
ケーブル圧着済みの同型ケーブルを入手して、ケーブルの途中で振り替えるというのが作業的には一番ラクそうですが、そのようなケーブルの入手先が見つかっていませんし、マザー側コネクタの型式もまだ分かっていません。LCDパネル側のコネクタはおそらくi-pexの20454と同等のものだと調べはついています。
もしかすると、E530用のLCDケーブル(FRU:04W04124)が使えるのではないか?とも思っています。海外では、E530用にHD+パネルの設定もあるので、LCDケーブル自体はDual Channelに対応していることが期待されます。小さな問題としては、E530用はE430用よりも長いはずなので余った部分をどうやって押し込めるか?という点。大きな問題としては、E530とE430が同じマザーボードなのか?、違うマザーだとしてもコネクタの型式・ピン数・ピンアサインが同じなのか?という点です。この点をクリアできるならE530用のLCDケーブルを調達するというのがもっとも手間のかからない解ということになりますが、果たしてLenovoはE430ユーザーにE530用の保守部品を譲ってくれるのか?というところも気にかかります。

というわけで、今のところLCDケーブルをどうするかで迷っているところです。


最後に余談ですが、調査中に迂闊にオシロのプローブであるピンを触ったところ、一瞬にしてLCDが真っ白になってしまいました。ホワイトアウトと呼ばれる、LCD関連の故障でよく見られる現象であることは後で知りました。再起動してもBIOS画面自体出ずに真っ白なので、壊してしまったのは明らかでした。後から思い出してみると、オシロのプローブが触れた瞬間に小さく「ピチッ」と音がしたような気がします。ショートさせてしまったようです。

LCDのバックライトは点灯していますし、全部真っ白(または真っ黒)ということは、LCDコントローラ自体がちゃんと動いていなくてパネル上の個々のセルが全く制御されていないという推測ができます。また、ショートさせたときにプローブで触れようとしていた部分の基板パターンを見る限りでは、おそらくLCDパネルの制御回路の電源(3.3V)とGNDをショートさせてしまったようです。そうであれば、壊れたのはマザー側のLCDパネル用電源生成回路だと推測できます。
この仮定をもとに、今度は失敗しないようにちゃんとACアダプタを外した状態で、関連する部分の回路を調べてみました。すると、LCD行きコネクタのそばにFET(と思われる)を使った典型的な電源ON/OFF制御回路が見つかりました。おそらく、スリープ時とか必要がないときはLCDコントローラ自体の電源も落とすような制御になっているのでしょう。となると、壊れた可能性が高いのはこのFETです。ショートによって貫通電流が流れたのだと思います。LCDがONになっているはずの状態にして、ON/OFF回路の二次側(LCDパネル側)の電圧をオシロで確認してみると、電圧は2V付近でフラフラしています。推測が正しければここはLCD用の電源電圧である3.3Vがしっかりと出ていなければならないはずです。試しに(かなり強引ですが)、このFETのドレイン側とソース側をピンセットでつまんでショートさせた状態にしてみます。つまり、むりやり「常時ON」にするということです。この状態でE430の電源スイッチを押すと、正常にBIOS画面が表示されました。そしておもむろにピンセットを外すと、一瞬で真っ白になりました。ビンゴです。このFETの故障が原因と考えて間違いないでしょう。
手持ち部品から使えそうな代品を探したのですが見つかりませんでした。しかし幸いにも、E430のマザーには同じ部品がすぐ傍にもう一つ使われていて、それはどうやらWEBカメラの電源ON/OFF用のようです。WEBカメラは使うことがないので、当面はこのWEBカメラ用のFETを外して、LCDパネル側につけることにしました。WEBカメラは使えなくなりますが、そのうち適当な代品を探してつけることにします。
というわけで、いまは(まだ1366x768のLCDパネルですが)ちゃんと表示されるようになり、この文章を書いています。

2 件のコメント:

  1. 古い記事にすみません。
    こちらの改造ですが、当方の所持しているCorei5-3210MのE430でもできますか?
    データシートを読めないばかりにすみません。

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  2. 私はCore i5版E430を持っている訳ではないので確かなことは言えませんが、
    i7版とi5版で全く違うi/fのマザーを作ることは考えにくいので、たぶん同じようにできるとは思いますが・・・。
    動作保証は誰にもできませんので、結局は自己責任ということで、あしからず。

    最近はFull-HDのノートPCは普通に買えますので、個人的には、10000円近くも出して1600x900にする価値は少ないかなと思いますよ。

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